ヒッチコック作品 「 レベッカ 」

レベッカ
/ ファーストトレーディング
       ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 



 このヒッチコック作品も 惹きこまれてしまった。
 霧が漂う情景。そして、鬱蒼と茂った木々の向こうに浮かび上がる、廃屋と化した屋敷。
その場面からこの映画は始まるが、そこでは女性の声で「語り」が入っている。
 それがレベッカの「声」なのだろうか。。。 

 映画タイトルの『レベッカ』・・・これは、亡くなった女性の名前だけれど 映画全編に渡ってレベッカは登場しない。 回想シーンさえない。
 冒頭部分の「語り」と、それ以外には唯一、屋敷の中で「肖像画」として、ちらりとその
容姿を観客は見ることになる。
 が、それもレベッカの「顔」よりも、肖像画で着用している「ドレス」を印象付ける演出。
 つまりそれは 最初から最後まで観客に、レベッカという女性を頭の中で想像させるということを意図した演出なんでしょうか。
 屋敷の中には、亡くなったレベッカの愛用していた物が 数々、存在する。
 美しく聡明で気品があり、美意識も高い女性、レベッカという前妻を、観客側もいったいどんな女性だったのかと 「レベッカ像」なるものを否応なしに膨らませてしまう。
 けれど、映画の結末で その女性像は見事に覆される。

 レベッカは 美しくはあったが計算高く、したたかで浮気性な女性であったと 最後にその人物像を、すとんと落としてしまうところがこの映画のミソであり 意外性を狙ったのかな、と私は思った。
 再婚相手として夫(ローレンス・オリビエ)と暮らすようになった主人公(ジョーン・フォ
ンテイン) は 広い屋敷の中でその幻影(レベッカの幻影) に萎縮したり、怯えてしまうほどである。
 彼女は 自分には相応しくない結婚だったのかと悩みながら、それでも健気に夫に尽くし、愛を貫こうとする。そして、自信を持てなかった主人公が 夫を愛することにより強さを持つ女性へと成長してゆく様子も描かれている。

 この映画の中では 印象深い人物が何人か登場する。 
 そのひとりは、前妻レベッカが 屋敷に嫁ぐ前から彼女に仕えていた身の回りの世話をする御付きの女性。 
 この女性、喜怒哀楽を極力、表情に出さない演技で「瞳」の奥に潜んでいる彼女の感情は、図り難いものがある。 
 そういう女性の存在が、このサスペンスの面白さを増幅している。
 もうひとり、ジョーン・フォンテインが結婚する前、雇い主であった金持ち婦人。

(↑追記:ウィキ情報ではこの女性、叔母となっている)

 ストーリ-前半の 金持ち夫人とジョーン・フォンテインとのツーショット場面が、私には少し可笑しかった。
 気位いも高そうであるが、よく喋る夫人。ふくよかな面立ちのその婦人と、その横に少しおどおどしながら座る、どちらかといえば華奢な体型の ジョーン・フォンテイン。
 年齢も当然違う訳だが 顔の大きさや、首の太さまで違うこの女性を二人並ばせている
場面を 映画を鑑賞し終えてから思い返した。
 その後のストーリー展開を考えると 主人公(ジョーン・フォンテイン) の繊細さや、自信が持てないという彼女(ジョーン・フォンテイン)の 「内面」や「人物像」を 強く印象付ける演出を その場面でもしているのかと考えてしまう。
 もしそうならば、やはりヒッチコック作品は 巧みな人物描写と観客を惹きつける緻密な演出をするサスペンスといえる。






 
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by sumi_0083 | 2007-04-12 00:01 | 映画・ドラマ

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